堀文子さんという今年 96歳になられる日本画家がいる。とても瀟洒な絵を描かれる。使われるブルー系の色が澄んでいて美しい。
浜松市に秋野不矩美術館があり、10月11日から 11月16日まで「堀文子展」を開催しているというので出掛けてみた。
美術館はJR浜松駅から遠州鉄道に乗り換えて西鹿島駅まで行き、更にバスで美術館前まで行く。
そこには藤森照信氏設計の木と漆喰をふんだんに使った特異な美術館があった。地元出身の秋野不矩画伯の常設展示とともに堀文子さんの絵画や版画が展示されていた。
実物を観るとその迫力に圧倒される。画風やモチーフは人生の歩みと共に変化するが、圧倒的なパワーは変わらない。
90歳を超えてなおも漲るパワーはどこから出てくるのだろうか?自由を求め、孤独の空間と時間の中で描かれる絵画には魂が込められ、その魂の声が感動として伝わってくるようだ。
著書を読んでみた。堀文子さんにも人生の変遷があり、それを知ると作品にそれがそのまま表れている様を感じることが出来る。ご本人はそれを意識している風は微塵もないが、格別に孤高の人なのだと思う。
曰く「奢らず、誇らず、羨まず、欲を捨て、時流をよそに脱俗を夢見て、私は一所不住の旅を続けてきた」、「自分の無能を恥じ、己との一騎打ちに終始し、知識を退け、経験に頼らず、心を空にして日々の感動を全身で受け止めたいと心掛けた」、「肩書を求めず、ただ一度の人生を美にひれ伏す、何物でもない者として送ることを志してきた」
この方の生き方には共感するものが多い。モットーにしていることが「群れない、慣れない、頼らない」だという。
そういう生き方に激しく憧れる。
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