今日で東日本大震災から4年が過ぎた。地震当日、今までに体感したことのない異常な揺れも、道路を埋め尽くし黙々と帰宅する大量の人々に混じって15キロほどを歩いたことも、テレビから毎日流れるACジャパン(元公共広告機構)の無機質なポポポポーンも、時を経ずして被災地を訪れた時の衝撃的な光景も体に焼き付いている。
しかし被災地の皆さんはそれどころではないはず。まだ避難生活を強いられている方々が約23万人もいる現実とそれぞれの被災者の今日に至るまでの4年の歳月の重みは尋常なものではないだろう。
復興、復興と言いながら遅々としか進まない生活環境の改善と少しずつだが取り戻してきている被災地の人々の逞しく前向きな取り組みや強靭さが対照的に映る。津波を大学の卒業研究のテーマに選び、土木技術者として社会に出た私が荒涼たる被災地に最初に立った時の思いは、早急な瓦礫の片付けと仮設住宅の迅速な準備や生活物資の絶えない供給であった。予想以上の時間は要しながらもこれらの復興のベースだけは整えられてきた。しかしこの大震災には津波被害とは別のもう一つの特異な側面がある。原子力発電所の崩壊による深刻な放射能汚染だ。
大津波を伴った巨大で広域な地震災害と、広域に放射能汚染をもたらした原発事故とは同列で扱ってはならない。対処が根本から異なるからだ。放射能汚染問題は極めてセンシティブな問題である。今日の新聞の朝刊にしろ、テレビの報道にしろ、震災の振り返りや復興経過と被災者の復興努力は積極的に扱われているが、最近また汚染水の海洋流出が露呈した原発事故と放射能汚染に関しての扱いは極めて消極的だ。
チェルノブイリ事故におけるベラルーシやロシアの被曝住民に及ぼしている染色体異常などの遺伝的損傷は多くの調査や研究で明らかになっている。子供達の甲状腺癌の発症も事故後5年目くらいから顕著になっている。福島も事故発生から4年が経過し、これからが心配される時期になるのだろう。低線量被曝の問題すら科学的に解明できていないが、リスクであることは間違いない。国民や被曝地域の人々への影響が大きいからとの深謀遠慮があるのだろうが、子供達を守ることを津波災害復興以上にもっと真正面から取り組む必要があると思う。遅れている復興問題とは性質が異なるのだ。時間が経過するほどにますます気になるのが被爆地の子供たちのことである。
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