組織のメンバーとして仕事をしていた頃は、ほとんどの時間を組織の為に割いた。割いたというより割かざるを得なかった。建設業であったから仕事の密度は高いほうの業界だと思う。それでもまだ年齢の若い地方勤務時代では多少の時間もあり、自分の趣味に時間も充てられた。マネージャになるとなかなかそうはいかない。本筋の業務に加えて付帯する管理業務が増える。業界でも週休二日に移行はしたものの、土日のいずれかは仕事に充てることも多かった。要するにしゃかりきになって働いていた。
常勤監査役になった時から、許される範囲で社会貢献になる活動を具体的に始めた。それは以前から考えていたことでもあった。「木内里美の是正勧告」を書き始めたのも、「CIO賢人倶楽部」を立ち上げたのも、システムイニシアティブ協会の活動を始めたのもこの頃である。中立的な立場の講演や国の委員なども積極的に受けた。
組織から離れて起業し、すべての時間を自分がコントロールするようになった現在では、ビジネスと社会貢献の負荷比率を 50:50 でやりたいと考えている。今年はビジネスの傍ら、仲間と「Innovation Café」(関連記事:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140704/568963/)という活動を始めた。ビジネスも人と人、企業と企業をつなぐことを会社の理念にしているので専らが利益追求ではなく、社会貢献的な色合いが強い。事業の柱は経営改革や業務改革、それに伴うシステムデザインサービスを提供している。良い言葉がないので、一般に通用する「コンサルティング」と言っているが、どうもしっくりこない。依頼先の役員や社員と一緒になって課題解決に当たり、改革を進める指南の仕事だと思っている。コーチかメンターと言った方が近いのかもしれない。そう考えてみると、ビジネスも社会貢献活動もやっていることが『人材育成』であることに気付いた。
大学時代、恩師には大学に残って教学の道に進むことを勧められた。私には疑いもなく民間企業が向いていると思っていたので、その勧めに応えることは出来なかった。長い年月を経た今、日々の活動を通じて御恩に報えることになれば嬉しい。
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